HON[.]jp メールマガジン #382 2026年7月6日版

📙週刊出版ニュースまとめ&コラムや HON.jp からのお知らせなどをお届けします。HON[.]jp と表記しているのは、SNSなどで自動的にリンクになってしまうのを防止するためです。
鷹野 凌 2026.07.06
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今年もやります! 即興で小説を書いて本にして販売するまで3日間でやりきる出版創作イベント「NovelJam 2026」東京・名古屋・沖縄会場で参加者募集中!

週刊出版ニュースまとめ&コラム
#722(2026年6月28日~7月4日)

【写真】NAgoya BOOK CENTER / ONLY FREE PAPER 名古屋(photo by TAKANO Ryou)

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 編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。

【政治】

◆ 【デジタルトレンド】83 「AI Overviews」誤出力問題でGoogle敗訴 波紋をよぶドイツでの判決〈The Bunka News デジタル(2026年7月1日)〉

この判決は概要を読んだだけでもめちゃくちゃ影響が大きいことがわかるので、詳報ありがたいです。ドイツだけに通用する特別なロジックを使っているわけでもないので、世界中で同様の判決が続出するようになるかも。そうなると「AI検索」という事業が成り立たなくなる可能性すらあります。

ちなみに本稿執筆時点でこの記事には署名がありませんが「デジタルトレンド」の連載なので恐らく【コンテンツジャパン代表取締役・堀鉄彦】氏が執筆したものだと思われます。ソースを見るとauthorはhoshinoになっている……CMSはWordPressなんだから、外部寄稿はちゃんと著者として設定してあげればいいのに。

◆ U.K. Book Trade Seeks EU Tariff Exemption(英国の書籍業界、EU関税の免除を求める)〈Publishers Weekly(2026年7月2日)〉

えーっと……そもそも、イギリスが「EU域外」扱いなのは、自分たちでブレグジットを選択したからですよね? つまり自分たち自身の責任なのでは? 甘受するしかないと思いますよ。

【社会】

◆ 令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査〈総務省|情報通信政策研究所(2026年6月28日)〉

「電子書籍リーダー」の利用率を調べ続けている数少ない調査。利用率は2021年の8.3%をピークにじわじわと下降中です。

◆ 電子出版、激動の十余年――JEPAセミナー資料を公開します〈HON.jp News Blog(2026年6月30日)〉

年末年始を除くと8年ぶりのJEPAセミナー登壇です。これでようやく怒濤の6月が終わりました。 疲れたっ!

◆ Short story accused of being AI-written wins overall Commonwealth prize(AI執筆と疑われた短編小説がコモンウェルス賞の総合優勝)〈The Guardian(2026年7月1日)〉

AI出力疑惑がかけられていたのですが、草稿、タイムスタンプ付き文書、メモなどを精査したうえで、授賞が決まったそうです。外野が勝手にAI製だと決めつけた「魔女狩り」だったようです。英語圏だと「em dashを使うとAI出力だと疑われる」みたいなパターンもある模様。「なんであいつが」みたいな「ワナビの妬み」なんかもあるんでしょうね。

◆ 第9回 日本・アメリカ/増加するZINEへの助成・補助金、日米で異なる社会的評価〈新文化オンライン(2026年7月2日)〉

HON.jpが2017年から開催している創作と出版のワークショップ「NovelJam」は、2026年度もSARTRAS共通目的事業・助成事業に採択されました。10年目! まあ、一般的にZINEと呼ばれるものとはちょっと違うかもしれませんが。合本はZINEっぽいかな?

◆ 講談社「深くお詫び」 『はたらく細胞』作者・清水さんに謝罪 編集部の対応めぐり〈ねとらぼ(2026年7月3日)〉

うーわ、清水茜氏のX(旧Twitter)での告発内容があまりにひどかったから、ちょっと様子見していたんですよね。でも講談社側は一切否定してないのか。事実かあ……いや、こういう「謝罪」のフェーズにおいて少しでも反論するのは悪手だから、対外的な姿勢としては正しいと思いますが。そもそもそこへ至るまでのプロセスがひどすぎる。シリウス編集部の体制がおかしいんじゃないだろうか。

◆ Could the next great novel be written by AI (and would you even be able to tell)?(次の傑作小説はAIによって書かれるのだろうか(そして、あなたはそれを見分けることができるだろうか)?)〈The Guardian(2026年7月4日)〉

Steven Rosenbaum’s book The Future of Truth, a serious study of “how AI reshapes reality”, was found to contain numerous hallucinated quotations, which the author acknowledged in an apology.(スティーブン・ローゼンバウムの著書『真実の未来』は、「AIが現実をどのように再構築するか」を真剣に研究したものだが、多数の誤った引用が含まれていることが判明し、著者は謝罪文の中でそれを認めた)

この事例、知りませんでした。調べてみたら、2026年5月12日発売の本だそうです。つい最近か。ソースで示されているNY TIMESはハードペイウォールに阻まれ一切読めないため、他の記事を探索してみました。このあたりこのあたりが参考になりました。どうやらChatGPTの偽引用に騙されちゃったみたいです。存在しないソースを捏造するの、よくありますからねぇ……AI出力を検証せずそのまま使うのは危険すぎる。しかし、本の内容的に、皮肉すぎる事態ですね。

【経済】

◆ 【重要】FanTopサービス機能の一部終了および利用規約改定、返金対応のお知らせ〈FanTopヘルプセンター(2026年6月29日)〉

わーお。そもそも私は、昨年末の「Blocto」サービス停止に気づいてませんでした。お知らせの履歴を見たら、昨年末時点で「Blocto機能停止と秘密鍵の取得方法」というのが出ていたみたいなのですが、これについてメールは届いてませんね……年明けの「ワンタイムパスワードログイン機能提供開始」や「パスワードログイン終了」のメールは届いてましたが。とりあえず今回終わるのは「FanTopコイン」での売買機能で、いちおうギフトコード等によるアイテム取得や閲覧機能は残るようです。出版社向けに提供した「紙本を買うと電子版が特典としてもらえる」機能は維持するのかな。

しかし、まさかウォレットが終わっちゃうとは……いや、まさかじゃないな。HON.jp Booksが採用した「DC3」ソリューション一足先に終わってしまったのでした。システムのどこかに他社製で代替性が低いものを利用していると、その歯車がひとつ欠けるだけで全体に影響が及ぶんですよね。まあ、HON.jp Booksの電子本は私の著書だけでテストマーケティングしていた段階なので、DRMフリーに戻すだけで済みましたが。

関係性開示:メディアドゥには、HON.jpの法人会員として事業活動を賛助いただいています。しかし、本欄のコメント記述は筆者の自由意志であり、対価を伴ったものではありません。忖度もしていません。

◆ 書籍の知識をQ&Aにする「Bookleverage」開発のQureka、1億円を調達〈BRIDGE(2026年6月30日)〉

タイトルだけ読んだ段階だとちょっと嫌な予感がしたのですが、

同サービスの特徴は、権利者許諾済みの正規書籍データのみを使用する点にある。書籍データを AI モデル学習に用いない設計や全文出力の制限、出版社への収益還元を組み込んだビジネスモデルを採用している。

それならまったく問題ないですね。うまくいけば面白い基盤になりそうです。注目しておきます。

◆ Cloudflare、AIボットによるコンテンツ利用の用途別制御機能と、エージェントによるWebリソース利用への課金基盤を発表 ——Content Independence Dayから1年〈gihyo.jp(2026年7月2日)〉

Search、Agent、Trainingの3分類でブロック可能になるとのこと。それはいいとして「Pay Per Crawl」をぶち上げてから1年経ったわけですが、いまだに「成功事例」的な話が聞こえてこないのは気になるところ。次の手は「Pay Per Use」になるようです。まあ正直、従来とは違うプラットフォームに首根っこを掴まれるだけの話になりそうだからなあ。

◆ 3万円で「Yahoo!ニュース」にPR掲載 プレスリリースをAIで「ニュース風記事」に〈ITmedia NEWS(2026年7月3日)〉

うーわ、悪い予感しかしません。原文のまま転載するプランはPR TIMESと大差ないからいいとして、「Yahoo!ニュースの編集ノウハウを学習したAIが、プレスリリースをニュース記事風に再構成」するプランのほうはかなりやばそうです。

というのは、プレスリリースにも「ウソ・おおげさ・まぎらわしい」JARO案件ってあるんですよね。それも大量に。とくに「市場調査」系は闇が深いです。てきとーにでっちあげたとおぼしき調査結果の権威付けに使われちゃう可能性があります。そういうの、事前チェックでちゃんと門前払いできますかね。対価をいただく「お客様」になっちゃうと、断りづらくなる気がします。

というかこれ、対価をもらったうえで「ニュース記事と同じフォーマットで掲載」するなら、実質的に「記事広告」ですよね。ちゃんと【広告】って表記するのかしら? 表記しないとステマになりそう。対価が発生してるわけだから「ウチはプラットフォームだしプレスリリースをAIが自動で要約を出力してるだけだから無罪」なんて言い訳、通用しない気がする。【広告】表記なしなら、消費者庁案件ですね。

あと、AIがプレスリリースを再構成してから、Yahoo!ニュース編集部の人間はどこまでチェックするのか。あ、これは「プレスリリース配信元に検証をぶん投げる」って手があるか。編集部が責任を負わない形にしちゃえばいいわけだ。いやだなあ、そんなサービス。

【技術】

◆ AI 検索で生き残るには? Google 検索トップが示すパブリッシャーへの提言〈海外SEO情報ブログ(2026年6月29日)〉

時には彼ら(パブリッシャー)がペイウォールを追加して、それから『トラフィックが減った』と言うことがありますが、こちらとしては『はい、はい、はい、課金すればそうなりますよね』という感じです。

わはははは。「当たり前やろ!」って話。笑うしかない。実はHON.jp News Blogでも、書籍化した過去記事などはウォールドガーデン(無料ユーザー「Readers」に登録すれば読める)に格納しているのですが、その記事へのGoogle検索からのアクセスはもちろん激減します。そういう自らの行いが招いたことを「ゼロクリック!」とか「グーグルゼロ!」などと責任転嫁するのはよくない。

◆ Spurious copyright claim sees second Press Gazette story removed from Google search(不当な著作権侵害の申し立てにより、プレス・ガゼットの記事が2本目もグーグル検索から削除される)〈Press Gazette(2026年6月30日)〉

Press Gazetteがまた、DMCA悪用の逆SEOを食らっています。申告内容はいい加減なもので、なぜこれが易々と通ってしまうのか不思議なほど。7月2日に復旧したという追記がありますが、こうやって騒がないと対応してくれないのも怠慢ですよね。

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本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

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