HON[.]jp メールマガジン #381 2026年6月29日版
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恒例の出版ニュース特番を開催。2026年上半期をフィジカル出版、エンタメ出版、デジタル出版の3つのパートで振り返り&掘り下げました。アーカイブチケット販売中!
週刊出版ニュースまとめ&コラム
#721(2026年6月21日~27日)
編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。
【政治】
◆ SNSで「信頼できるニュース」優先表示、英政府が検討 誤情報対策で〈ロイター(2026年6月23日)〉
うーわ。その「信頼できるニュース」とやらを誰がどうやって決めるんですか? 「信頼できるニュース」に選ばれなかったメディアを簡単に排除できてしまいますよね。やるとしたらメディア単位でやるしかないと思いますが……イギリスだからとりあえず公共放送BBCは当確でしょうか。
もし日本で同じようなことをやろうと思ったら、スポーツ紙系や週刊誌系は「信頼できない」とあっさり排除されそうな気がします。新聞系は、軽減税率のときみたいな権力の顔色伺いになりそう……嫌な想像しかできませんね。だから政治権力に表現を容易に規制できちゃう手段を与えちゃダメなんですよ。あと、政権が変わったときに悪用されないか? という観点も必要です。
◆ ゲームやアニメなどコンテンツ産業の海外展開支援、司令塔の法人設立へ…日本の「勝ち筋」に官民の叡智結集〈読売新聞(2026年6月23日)〉
韓国コンテンツ振興院(KOCCA)みたいな組織を作るそうです。「司令塔」ですから、最も重要なのはその司令を誰がどのような形で行うか? でしょう。要は、誰が監督になるか次第……誰がなると良いんだろう? 思いつかない。
◆ Four in five under-16s in Australia using social media despite ban, study shows(調査によると、オーストラリアでは16歳未満の5人に4人が禁止されているにもかかわらずソーシャルメディアを利用している)〈The Guardian(2026年6月24日)〉
オーストラリアの規制は、指定10サービスだけが対象なのですよね。私は当時「指定されてない代替サービスに乗り替えるに決まってる」「当然予想できたはずのいたちごっこ」と書いたのですが、そもそも指定サービスの年齢認証がザルなので、普通にそのまま使っていたりするようです。わはは。笑うしかない。
◆ 日本の小説・雑誌を世界へ 文化庁協議会が戦略、翻訳家の育成も〈日本経済新聞(2026年6月25日)〉
「次世代のマンガ海外発信のためのプラットフォーム構築に向けたコンソーシアム 第1回会議」に続き、こちらの「第2回 活字文化グローバル展開協議会」も会議全体は「非公開」でした。終了後に概要は公開されていますが、なんか釈然としない。文化庁長官が伊藤学司氏になってから、秘密主義が強まっているような気がします。
◆ 政府、アニメ・漫画の海外展開を後押し…集英社など15社に115億円補助・翻訳や現地のイベント支援へ〈読売新聞(2026年6月25日)〉
経済産業省の補助金「IP360 -Toward 20 Trillion Yen-」の採択結果が一部公開されました。「ゲーム」と「音楽」は門外漢だから論評を避けます。なんかDeNAが採択されたニュースが炎上していましたが、正直妥当性がわからない。「マンガ」だけ見ていきます。
「メニュー5.流通プラットフォーム拡大支援」は、講談社(K MANGA)、集英社(MANGA Plus by SHUEISHA)、スクウェア・エニックス(Manga UP!)、NTTソルマーレ(MangaPlaza)と、わりと「勝ち馬に乗る」支援という印象です。コンテンツそのものではなく、コンテンツを配信するプラットフォームを成長させるための補助というのは悪くない気がします。
「メニュー6.開発プラットフォーム構築支援」のラディウス・ファイブ(copainter)は、私は知りませんでした。新興のAI企業みたいですが、なぜ「スタートアップ」枠じゃないんだろう? Facebookグループでいただいたコメントによると、「copainter」のAIは「描く人の工程を補助する」機能のようです。セルシス「CLIP STUDIO PAINT」が画像生成AI機能を搭載しないと宣言しているので、間隙を縫ってポジションを築いている感じなのでしょうか。
「メニュー7.海外展開支援(IPエコシステム世界展開支援)」は、角川メディアハウス(2026年度マンガフェスティバル パリ JapanExpo事業)、トーハン(ソウル国際ブックフェア 2026における出版ローカライズ・プロモーション事業と第32回北京国際図書博覧会における出版ローカライズ・プロモーション事業)。これはわかる。こういう海外の展示会にはどんどん出ていったほうがいいし、補助を受けるのもわかる。
「メニュー8.海外展開支援(ローカライズ支援)」は、コミスマ(GANMA!作品の海外ローカライズ)、ブシロードワークス(コミック配信サービスのグローバル化事業)、ぶんか社(北米自社翻訳配信プロジェクト)、ポプラ社(インド出版市場の開発)、Amazia(マンガ制作)まではわかるんだけど、JadeComiX(ZETooN)は知らない……と思ったらセガサミーとパピレスの合弁ですか。いまのところ唯一の縦スクかな。
「メニュー9.海外展開支援(プロモーション支援)」は、マンガなし。あれ。残りのメニュー1から4は近日公開予定です。
◇ 「漫画、共通プラットフォームを」 伊藤学司・文化庁新長官に聞く〈日本経済新聞(2026年6月24日)〉
私はむしろ問題はこっちだと思っています。経産省の「IP360」補助金は「それぞれ頑張ってね」なのに対し、文化庁は「共通プラットフォームを」なのですよね。省庁で方針にズレがある。経産省は現実路線なのに対し、文化庁は理想を追ってる感があります。しかし、活字文化グローバル展開協議会のほうは終了後すぐに概要が公開されているのに、こちらはいまだに非公開なのですよね。判断材料に乏しい。
◆ 「国旗損壊罪」法案、賛成多数で委員会可決 提出者4党とみらい賛成〈朝日新聞(2026年6月26日)〉
◇ 国旗損壊罪、識者4人から意見聴取 「違憲判断の可能性」との指摘も〈朝日新聞(2026年6月25日)〉
◇ 日本ペンクラブ、国旗損壊罪に反対 桐野会長「危機感を持っている」〈朝日新聞(2026年6月25日)〉
うーん……これは、違憲判決を狙って国旗を燃やす抗議行動をする活動家がすぐ出てきそうな気がします。私はやらんよ。
【社会】
◆ Rakuten Kobo rejects 45% of submissions after slew of AI-generated books uploaded(楽天コボ、AI生成書籍の大量アップロードを受け、投稿作品の45%を却下)〈The Bookseller(2026年6月22日)〉
Amazon Kindleストアは生成AI製作品は入り口での規制(自己申告)に止まりますが、Rakuten Koboは積極的に削除する方向で動いているようです。とくに“Shy Girl”事件以降、警戒を強めているとのこと。プラットフォームによる姿勢の違いがだいぶ鮮明になっています。
◆ 東京国際ブックフェアという実験~何が起きたのか、何が遺ったのか⑥ 再販制度の危機とTIBF(下) 書店向け仕入商談会の実現と限界〈The Bunka News デジタル(2026年6月24日)〉
公取委が再販制を「当面存置」としたことで、熱が冷めちゃったのですね……確認したら、公取委の文書公開日は2001年3月23日でした。いま思うと、あのとき時限再販なりを全面的に採用していたらどうなっていただろう? と想像せずにはいられない。もちろん当時でも痛みを伴う改革ではあっただろうけど、取次・書店にもまだ体力が残っていた段階だから、いろいろ間に合ったんじゃないだろうか。
◆ 「アニメ取引適正化」告知チラシ、「AI風」で批判 公取委当惑〈毎日新聞(2026年6月24日)〉
公取委のX(旧Twitter)投稿はこちら。

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リプと引用の反響をざっとひととおり眺めてみましたが、根拠なく生成AI製だと決めつけてる声が大半で、どうなんだこれ? と思っていたのですが……コメント、下に続きます。
◇ 公取委のとあるポスターが物議 「アニメ取引適正化」訴えるもイラストに生成AI 採用した理由とは?〈ITmedia NEWS(2026年6月25日)〉
結局、公取委がチラシ(ポスター?)制作を委託した事業者に確認したら、再委託先(イラストレーター?)が勝手に「作業効率化のため」と生成AIを使っていたそうです。よりによって「アニメ取引適正化」を訴えるポスター(チラシ?)に画像生成AIが使われてしまったというのが、なんとも間が悪い。あと、公取委が委託先にちゃんと対価を払っていても、再委託先に適切な対価が払われているかどうかはわかりませんからね。
逆に、疑惑をかけられたけど生成AIが使われていなかったというケースの場合、どうすれば疑われずに済むのかという観点も考えてみたいところです。私には、イラストレーターのクレジットを表記するくらいしか思いつきませんでした。でもそれってあらいずみるい氏の事例(2023年)みたいに、ヘタをするとそのイラストレーターがAI疑惑で炎上するという。あらいずみるい氏はレイヤー構造を動画で公開しても、「いまのAIならレイヤー分解くらいできる!」って難癖付けられてましたし。
【経済】
◆ KADOKAWA株主総会、夏野社長再任案を可決〈日本経済新聞(2026年6月24日)〉
ひとまず危機は乗り切りましたね。関係者の方々、お疲れさまでした。しかし、これで夏野氏が社長業に集中する姿勢を見せなければ(Abema TVへの出演を止めるとかたくさん兼務してる社外取締役を辞めるとか旧Twitterの書き込みを減らすとか)すぐ批判の声は大きくなるでしょう。むしろここからが正念場ですよ。
◆ Google、アプリ事業者の手数料30%→25%で決定 日本は12月から〈日本経済新聞(2026年6月25日)〉
これ、Appleは日本のスマホ新法施行と同時に最大26%へ下げましたよね? Googleはグローバルで下げてきたとはいえ、日本から見ると1年遅れということになります。
【技術】
◆ noteのトップページ、あるいは無駄の迷宮〈mehori.com(2026年6月23日)〉
noteをトップページから見ることがほとんどないので、いまそんな状態なのかーと思い改めて自分のトップページを見てみたのですが、私の場合、堀正岳氏の言うような悲惨な状態ではありませんでした。
上から「フォロー中」「今日のあなたに」「最近見た記事」「書店」「コンテスト・コラボ企画」「デジタル教科書」「出版社」「KADOKAWA」「書籍」「トークイベント」「著作権」「現場」「電子書籍」「あなたにおすすめのクリエイター」「編集者」「流通」「コンテンツビジネス」「読者」「分断」「アルゴリズム」「信頼性」「サンプリング」「最適化」「図書館」「インフルエンサー」「信頼関係」……という感じ。定型で入っていると思われるものを除くと、それほど私の興味を外してない印象です。なぜだろう?
とはいえ私も、Facebookはたまに、Threadsは頻繁に、おすすめに流れてくる投稿が悲惨な有様になることがあります。アルゴリズムがその人の興味関心分野をうまく把握できていない、ということなのだと思うのですが。ちなみにMetaのアルゴリズムは「いいね!」で調教できます。
◆ Google、Search ConsoleのAI パフォーマンスレポートを英国外にも展開開始〈海外SEO情報ブログ(2026年6月24日)〉
待ってました! でもまだウチには来てません! 電子出版関連のことをGoogle検索で調べると「AIによる概要」や「AIモード」で私自身の書いたことが出典に出てくる循環取引みたいな状況をよく見るので、それなりに使われているとは思うのですが。
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